Sep 24, 2009
永久脱毛のすすめと注意事項
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ハードの低価格化とネットワーク環境の充実により、中堅・中小企業でも情報システムの導入が可能となった。それと歩調を合わせるようにサービスとしてのICT利用が進展している。
ICTをサービスとして活用することによって、企業は初期投資やランニングコストを削減し、投資対効果を向上させることが可能となった。とりわけ経営資源の少ない中堅・中小企業においてはその期待は大きいだろう。ただ、単にサービスを利用すれば、期待するような効果が得られるということではない。「どのサービスを」「どの範囲に」活用するかを明確にし、最適なICTサービスを慎重に検討する必要がある。
今回は、その活用方法についての大まかな整理と、中堅・中小企業におけるICTサービスの可能性、特に情報処理・分析系システムにおけるサービス適用の可能性について述べたい。
●ICTサービス活用の現状
ICTサービス活用の可能性を検討するにあたって、情報を整理しておく。一般的にサービスとして提供されるICTは、その提供形態として以下の4つに分類される。
・SaaS(Software as a Service):アプリケーションソフトを提供
・PaaS(Platform as a Service):ソフトウェアの構築・稼働の基盤を提供
・IaaS(Infrastructure as a Service):システムの構築・稼働の基盤を提供
・HaaS(Hardware as a Service):ハードウェアを提供
例えば、企業で利用するICTの変更度が高ければHaaS、小さければSaaSが採用される傾向にある。
次にITシステムを4つの分野に分類する。
・コミュニケーション系システム:メールやスケジュール管理、ファイル共有、主に営業担当者の情報武装支援を行う
・外部向けWebシステム:外部向けの情報発信・サービス提供を行う
・情報処理・分析系システム:社内の情報を蓄積し、分析の支援を行う
・基幹業務システム:業務の効率化支援を行う
この整理に沿って、現状の活用実態を概観し、その可能性を考える。
コミュニケーション系システム
特殊な使い方をしている企業は少なく、早くからサービス利用が進んでいたこともあり、SaaSで利用する企業が増えている。一定の範囲まで無料で使えたり、有料でも非常に安価なサービスがそろっており、ユーザー企業は投資に見合った効果を得られているようだ。
外部向けWebシステム
コミュニケーション系に次いでICTサービスが進んでいる分野である。この分野では特にECや消費者向けサービスを提供している企業がPaaSやHaaSで使うケースが多いが、若干注意が必要である。
この分野で効果が最も得られるのは、ECサイトでの特定商品や新サービスのリリース直後に通常の数十倍のアクセスが一時的に発生するなど、アクセス数の増加が極端かつ予測ができないような場合である。この場合は使用量に応じて料金を支払うというICTサービスのメリットを享受できる。ただアクセス数の増減が数倍程度しかしないようであれば、サービスとして利用するよりもハードを所有して、ホスティングを利用、運用するほうがコストを低く抑えられるかもしれない。
基幹業務システム
この分野ではICTサービスの利用はほとんど進んでいない。基幹業務システムは処理件数の増減が一定の範囲に収まるため、使用量に応じてコストを支払うというサービス利用のメリットが得られない。
企業規模の大小を問わず、多くの企業が自社開発もしくはパッケージのカスタマイズによるシステム構築を行っている。運用・保守管理や追加機能開発を考えると、独自環境を保有したほうが柔軟性の高い場合が多い。
●情報処理・分析系におけるICTサービスの可能性
情報処理・分析系システムにおけるICTサービス活用は基幹業務システムと同様ほとんど進んでいない。
この分野で聞かれる課題は、「データ抽出・分析に時間がかかりすぎる」「もっと素早く情報が欲しい」といった処理能力に関するものと、「自分たち(利用部門)で自由にシステムを準備したい」という自由度に関するものである。
処理能力については、IT部門や委託ベンダなど開発側に原因もあるが、それ以上に予算の制約からくるハードやインフラの能力不足が大きな問題となっている。情報処理・分析系システムは一時的に負荷がかかって通常はそれほど必要としないという特徴があり、負荷の高いところに合わせて設計すれば無駄の多いIT投資となってしまうため、コスト面とのバランスをとって設計されてしまうのである。しかし、処理能力が一時的に必要なときに必要なだけ利用するという使い方ができればこうした問題は解消される。
自由度については、もし利用部門で開発すれば、たとえ開発規模は小さくても別途開発環境を社内で準備しなければならず、コストがかかってしまう。しかし、クラウドサービスを活用すれば実行環境とは別に開発環境を簡単に作ることができ、開発が終わればすぐに削除できる。
このように情報処理・分析系システムでは抱えている問題をサービスの活用で解決できる余地が大きいわけだが、簡単に実現できるわけではない。それが可能であるならば、とっくに経営資源が豊富で先進的な大企業が動いているはずだ。
●IT戦略のイノベーションと中堅・中小企業の勝機
情報処理・分析系システムでサービス活用が進まない理由は、サービスを活用するためにシステムの設計、構築手法そのものの変更が必要となるからである。そのようなシステム構築は、一部の企業や、企業内の一部門で取り組まれている。しかし、あくまで実験的な取り組みであることが多く、まだ普及しているとは言えない。
近い将来、クラウド上で簡単にシステム構築ができるようになってくる。それは単に開発環境が「こちら側か」「あちら側か」という話ではなく、データ設計や開発手法といったアーキテクチャそのものが変わることを意味する。
例えば、現在ほとんどの情報分析系システムはリレーショナルデータベース(RDB)を中心として設計・構築されている。しかし、最近ではRDBを使わずにITシステムを設計・構築する手法が注目されている。Googleで提供される各種サービスや、多数の会員を抱えるソーシャル系サービスなど、実際に膨大なデータの瞬間的な処理が実現できているのは、ハードの処理能力だけではなく、データベースの設計思想・構築手法によるところが大きい。
ただ、新たなアーキテクチャによって社内の情報処理・分析システムを構築するには既存のIT資産やIT人材の持つノウハウが無駄になる可能性があり、簡単にはいかないだろう。特に大企業の持つIT資産やIT人材は相対的に大きく、またその意思決定プロセスも多段階になっているため、こうした変更を行うにはまだ時間を要するだろう。企業トップやCIO(最高情報責任者)によほどのビジョンやリーダーシップがなければ、大企業がICTサービスを自社のIT戦略に深く組み込むことは難しい。ここに中堅・中小企業の勝機がある。
現時点ではICTサービスを利用したシステム構築は制約が多く、ノウハウも十分には蓄積されていない。混沌とした状況の今だからこそ、小さいが故に効かせることのできる小回りや、組織全体に対して発揮しやすいリーダーシップを武器に、先駆けてそのノウハウを蓄積し、いち早く理想の情報システムを構築することが競争優位性を築くチャンスとなる。大企業の隙をつくチャンスはそう長くはないだろう。 【西田直基,日本総合研究所】
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